スポンサーリンク

emma が VERDY に聞きたい5つのこと、VERDY が emma に聞きたい5つのこと

スポンサーリンク

『ViVi』の専属モデルや『A-Studio』9代目アシスタントを務める新世代のファッションアイコン、emma(エマ)。『FourTwoFour on Fairfax』や〈Chinatown Market(チャイナタウン マーケット)〉にもグラフィックを提供する傍ら、“Girls Don’t Cry”や“Wasted Youth”といったブランド的側面を持つアートプロジェクトが世界的に波及しているアーティスト、VERDY(ヴェルディ)。過去にない価値観で時代を切り拓き、シーンの今後を担うであろう2人が、emma初のカレンダー「emma Calendar 2018.04-2019.03」でチームアップした。今回のコラボレーションでは“80年代”というコンセプトを根底に置き、セルフプロデュースという任務を自らに課したemmaのオファーによって実現したもの。

そして、リリースが直前に迫った3月某日、『HYPEBEAST』は両氏とVERDYのスタジオで落ち合うことに。そこでは和気藹々としたカジュアルなセッションが合図もなく始まったが、要所で垣間見える彼らのクリエイティブな会話を逃すまいと、我々はその延長線上でゲリラ対談を提案。無論、両者は悩むこともなく快諾してくれたわけだが、方向性を決めるべく、“emmaがVERDYに聞きたい5つのこと、VERDYがemmaに聞きたい5つのこと”というテーマを設定した。新世代の旗手同士が気になることを質問し、事前準備もなく答えたリアルで等身大なアンサーを是非、以下よりお楽しみください。

VERDY(以下、V):emmaちゃんは僕がデザインした“Girls Don’t Cry”を含め、ストリートブランドをミックスしたスタイリングを多々見かけるのですが、ストリートを好きになったキッカケは?

emma(以下、E):私は元々原宿のカルチャーが好きで。最初に興味を持つキッカケになったのは、若者向けの女性ファッション誌『Zipper』でした。昔は物差しを設けることもなく派手な洋服を選ぶ傾向にあったのですが、段々と大人になるにつれて、日本ではあまり知られていないニューヨークのスケーターブランドとかをディグしていくようになりました。これが“好き”の入り口かな。なので、Supremeを筆頭にスケーターブランドを好きになったのは、文化服装学院を卒業してからですね。そういうブランドには背景にカルチャーがあって、着る人にも意味があるから、その“濃さ”に惹かれたのは大きいと思います。

今回、VERDYさんには私からコラボレーションの依頼をさせていただいたのですが、最初にこの話しを聞いた時、どう思われましたか?

V:emmaちゃんが僕のブランドを着用している姿を拝見させてもらったり、そのおかげで女性誌からリース(貸し出し)が増えたりと、emmaちゃんには本当に感謝しています。ちなみに、僕は他の誰かと何かプロジェクトを実施する際は「自分でできることはしない」ということを心がけていて。世の中に作品を出すにあたり、「知らない人にも見てほしい」、「たくさんの人にメッセージが届いてほしいし」と感じるのですが、依頼が届いた時点でカレンダーに携わることはかつてない経験だったし、直感的に「面白そうだな、やりたいな」と思ったので、お引き受けさせてもらいました。

nullnullnull

E:嬉しいです……!正直、最初はダメかなと思っていたので。お返事をいただいた時は、思わず声が出てしまう程でした(笑)。

V:やったことない経験というのは大きかったですね。例えば、アーティストやモデル含め、女性の上に何かを描く、という経験があればファーストインプレッションはわからなかったですが、今回のオファーは初の試みで、今後僕から誰かに頼んで描くという能動的なアクションも起こるかわからないので。

E:今までレコードジャケットやツアーマーチなどを数多手がけて、“Girls Don’t Cry”や“
”といったオリジナルコンセプトのアイテムも展開されていますが、クリエイションをする上でのアプローチで大切にしていることはありますか?

V:バンドの仕事はお客様からの依頼、僕自身のプロジェクトは自分の好きなことをやる。ここに違いがあると思っています。けど、自分のプロジェクトに関しても、ポップアップショップで販売することは、バンドがツアーでグッズを売ることと同じように考えていて。だから“Girls Don’t Cry”や“Wasted Youth”はウェブショップもなく、卸先も少ないのは、スタンスは違うけどバンドからの影響を受けているからです。自分の作品は自分の気持ちやメッセージだと思っているから、バンドがCDを出すように自分の作品も出す。

そして、自分のプロジェクトで心がけていることは、無理して出さないこと。例えば、「そろそろ何かがあるから、ここを目掛けて制作しよう」と考えることはしません。音楽活動をしている友人や仕事で携わらせていただく人たちが、「CDをこの日にリリースしないといけないから、楽曲制作をしないといけない」と言っているのを聞いた時、「伝えたいメッセージや出したい曲があるから発表するんじゃないの?」と思って。それを僕の個展に置き換えた時、半年後のギャラリーを押さえて、他の仕事もしつつ、「ヤバい……作品制作しないと」ということを自分自身何度もやってきて。それ以降、作品が完成してからプロジェクトを始動するという流れに切り替えました。

nullnullnull

E:クリエイションをする上で、普段どこからインスパイアを受けていますか?

V:日常生活って楽しいこともあれば、悲しいこと、嫌なこともありますよね。それに、海外に行くと、日本では吸えない新鮮な空気が吸える。僕の場合、本当に日々生活する中から感じることが作品に反映されたりします。ただ、本や雑誌、映画などを自然に読んだり見たりしてきた分、意図せず自分の中に引き出しが増えていて、その引き出しにあるものとインスピレーションが合った時に作品を制作しています。

emmaちゃんはみんなから憧れられるファッションアイコンだと思うのですが、そんなemmaちゃんにも憧れの人はいるんですか?

E:モデルとしても、一人の女性としても憧れているのは、梨花さんです。事務所の先輩でも頻繁にお会いする機会はないのですが、ご結婚されて、お子様も生まれて、それでも今なお唯一無二の存在としてモデルを続け、同時にブランドも運営されていて……。女性としての幸せも手に入れながら、モデルとしても多大な功績を残されている方だと思います。これは色々な方から聞いたお話しなのですが、「梨花さんが出た雑誌は売れる」、「梨花さんが着用したら売れる」。そういう存在は一握りなんです、モデルから違う道を目指す方もいるので。私もモデルであり続けたいからこそ、大先輩ではありますが、とても刺激を受けます。服装を真似することとはまた違う憧れですが、将来的にはお店も持ち、梨花さんのような女性になりたいです。

V:なるほど。では、ファッションシーンにおいて、モデル以外で挑戦したいことはありますか?

E:昨年はビジュアルスタイルブック『emma』を出版させていただいたのですが、文化服装学院に通っていたこともあり、ファッションを根幹を形成する“裏方の仕事”にはとても興味があります。例えば、デザインとか、プロデュースとか。自分がモデルとして何かに出演することも生き甲斐だし、誰かに何かを伝えることにも喜びを感じるのですが、編集やプロデュース業にはそれとはまた違う楽しさがあって。『emma』は初のセルフプロデュースなのですが、実は寝る暇もなかったのはここだけの話しです(笑)。でも、大変以上に心から没頭できたし、その楽しさを覚えてしまったから、今後も出版はもちろん、将来的には自分のブランドやお店も展開できればと思っています。特にお店に関しては関心が強く、自分が良いと思うブランドをセレクトして、その中で自分がデザインした洋服も置いて、コーヒーも飲めて、レコードも聴けて……。そんな溜まり場になるような空間を持てたら夢のようですね。

逆にVERDYさんにの今後の展望をお聞きしたいです。

V:日本における裏原世代、例えばNIGO®︎さん、高橋盾さん(UNDERCOVER)、藤原ヒロシさん(fragment design)、ヒカルさん(BOUNTY HUNTER)、滝沢伸介さん(NEIGHBORHOOD)……言い出したらキリがなくなってしまうのですが、東京ストリートを作ったと言っても過言ではない人たちは、世界からの認知度も高く、今なお第一線でご活躍されています。僕が現在アメリカを中心に海外からお仕事の依頼をいただくのは、先に述べた先人の方々の影響が大きいと思っていて。その下の世代になると、VERBALさん(AMBUSH®︎)やPOGGYさん(UNITED ARROWS & SONS)さんなどがいらっしゃいますが、さらにその下の世代になるとほとんど認知されていないというのが実情。だから、世界的にとかアメリカ全土と言わずとも、感度の高い人たちに「日本ならVERDYだよね」と思ってもらえるようなポジションに行きたいですね。海外で仕事を始めるようになってから一層、日々強く思うようになりました。

emmaちゃんは海外を視野に入れているんですか?

nullnullnull

E:自分のルーツがイギリスにあり、旅行好きでもあるのですが、海外は仕事で行くよりも、ヒントを貰いに、インスピレーションを受けにいくという位置づけですね。去年6月に初めて行ったニューヨークを訪れたのですが、英語が全然できなくて困りました(笑)。ただ、目の前に広がっている景色がとても新鮮で。東京も常に最先端だけど、ニューヨークはその先を行っている感じ。カルチャー面でも発展しているし、価値観に幅があり、私の考え方を良い意味でちっぽっけだったと感じさせてくれました。ただ、モデルとして海外の一流メゾンのランウェイを歩きたいという思いは正直強いとは言えず、どちらかと言えば見に行って勉強したいですね、ファッションが好きなので。やっぱりライブで見るのは違うから、今後はパリコレなどにも積極的に足を運んで、そこでの刺激を成長の糧にできればなと思っています。

VERDYさんはニューヨークに行かれたことがあるんですか?

V:実は……ニューヨークに行ったことがなくて。ロサンゼルスか、ニューヨークかと毎回迷うのですが、友人や仕事仲間が多いこともあり、おかわりが続いています(笑)。ただ、僕も海外を体感したことで、emmaちゃんと同様「何でこんなに小さなことで悩んでたんだろう」と思いました。全員ではないけど、自分の気持ちに従って、自分がしたいことをしている人が多いですよね。

ただ、海外だって良いことばかりでもない。例えば、差別問題は日本国内で暮らしているだけでは理解が及ばないことも多い。初めてLAに行った時、とあるピザ屋で韓国人の友人と食事をしていたのですが、酔っ払った白人の集団が入ってきて、僕らに向かって何か誹謗中傷的な発言をしてきたんです。内容はわからなくても雰囲気でわかるし、店員さえマズいという形相でした。友人がSnapchatで店内に差別的姿勢の奴がいるみたいなことを言っていたら、その白人に携帯を殴られて。その瞬間にセキュリティが連れ出してくれたのですが、その後「大丈夫、気にしないで」と声をかけてくれた人たちと会話が弾み、その日が最初の夜であることを伝えたら、「普通は最初の夜でこんなこと起きないから、逆にラッキーだよ!LA楽しんでね、危ないけど(笑)」といった感じで盛り上がった、というのが話のオチです。この経験で差別の意味を知りました。つまりは、海外は日本ではできない経験ができるし、行ったことでわかることがたくさんあるんです。

長くなったので、最後の質問です。セルフプロデュースというワードがあったかと思うのですが、プロデュースするうえで大切にしていることは?

E:本を出版すると決めた際には、とにかく自分のやりたいことを貫きたかったんです。ずっと何かを作りたいという欲があったから。ただ、そこで何かを作るからには、誰かのもとに届かないと意味がないという考えが芽生えました。プロデュースしたものを購入してもらってお金持ちになりたいのではなく、見てもらい、共感してもらい、「いいね!」と言ってもらえることに喜びを感じるからこそ、自分がやりたいことをやるだけではなく、見る人の目線に立って筋書きを立てます。今回のカレンダーであれば、本とは違い1年間という賞味期限があるので、買っていただく方は大きいポスターサイズのものよりも、卓上の方がいいのかななど、多面的なアプローチを経験して、見方、考え方がブラッシュアップされた感覚がありますね。

いかがだっただろうか。以下は編集後記的な内容であるが、多忙を極める2人が仕事の合間を縫ってのセッションだったということもあり、対談は決して長時間に及んだとは言えない。だが、限られた時間で2人は絶え間なく情報を共有し、emma、VERDY両者の時代を的確に捉える目、類い稀なクリエイティビティ、そして未来を見据える先見性とそれを支える情熱が随所から垣間見え、冒頭で添えた「時代を切り拓き、シーンの今後を担う」という形容は確信へと変わった。

企画から撮影テーマ、スタイリングまで、emmaがオールプロデュースした「タイトル:emma Calendar 2018.04-2019.03」は、3月26日(月)より発売開始で、価格は2,000円(税抜)。カレンダーおよび発売記念イベントに関する詳細は、こちらからご確認を。

nullnullnull

Click here to view full gallery at HYPEBEAST.JP



Source: HYPE BEAST

スポンサーリンク
スポンサーリンク